サラリーマンのあしあと

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【本の紹介】「プロカウンセラーの一瞬で心を見抜く技術」前田大輔(著)その3


その2のつづき




【相手に心を開いてもらい、無意識レベルで信頼してもらうためには、このラポールが必要になります。】


ラポールとは無意識で感じさせる信頼関係なので、あくまでも無意識レベルのコミュニケーションだとのことです。
ラポールは無意識ですから、あくまでも本人はよくわからないのですが、「なんだか一緒にいると落ち着く」という感じのようです。


著者はラポールを築く方法をいくつか紹介しています。


本書に書かれていることを簡単にまとめてみました。


①マッチング

相手に安心感を与えるもっとも基本となる方法。
態度や言葉などを相手に合わせる、つまりマッチングさせていくことです。
別名、「ミラーリング」とも呼ばれます。

また、自分と同じ感覚を持った人なのだ、ということを伝えるだけでもマッチングになります。
例えば、好き嫌いや過去の思い出です。

マッチングを続けることを「ペーシング」といいます。
「ペーシング」を続けていくと無意識のうちに心を開いていきます。
つまり、二人の間にラポールが築かれていくわけです。



②パーソナルスペース

相手との位置や適切な距離も、無意識レベルの安心感に大きな影響を与えます。

相手に安心する要素があればあるだけ、パーソナルスペースは小さくなります。
つまり、相手に近づけるということです。

これを利用し強引に近づいてしまうことで、逆に安心感を与えてしまうというテクニックもあります。
初対面であっても、肩を寄せ同じものを除きこんだりすることで意図的に親密なもの同士だけに許されるパーソナルスペースをつくり、一気に安心感や親密感を深めることでラポールを築くのです。

また、椅子に座る場合は正面や真横ではなく、相手に向かって90度の角度で座るのが理想的です。
これはもっとも緊張なく安心して話せる位置なのです。


③第一印象で信頼させる

相手に与える印象も、安心させ信頼させるために、大切な要素です。
コミュニケーションにおける影響比率は、視覚要素が55%、聴覚要素が38%、論理要素が7%です。

第一印象は無意識に刻みこまれるのです。
だから、見た目には最大限気を使う必要があります。




【人が世界を認識するときには、必ずなにかしらの感覚要素を使っています。感覚要素には、視覚、聴覚、触覚(味覚・臭覚を含む)という三つがあり、人はそのどれかを無意識のうちに優先的に選んで使っています。】



現代催眠では、これを「表象システム」というようです。
そして人によって、優先的に使う表象システムは違うのだそうです。


どの表象システムを主に使うかによって、人はそれぞれ以下の特徴があると本書に書かれています。

①視覚的要素をよく使う人

比較的高い声で、早口で話す傾向があります。
質問されたら即答します。
(頭の中に現れる映像を使って処理するので、素早い思考や反応ができるのです。)
何かを説明する時には、イメージを図に書いて示す
などの教え方を好みます。
「見る」「視点」など、視覚につながる言葉をよく使います。



②聴覚的要素をよく使う人

明瞭な声で、なめらかに話す傾向があります。
物事を感覚ではなく、論理的に理解しようとします。
人に何かを教えるときは、話して聞かせる方法を好み、論理的に理解させようとします。
「聞こえる」「考える」という言葉を好んで使います。



③触覚的要素をよく使う人

比較的低い声で、ゆっくり話す傾向があります。
頭で考えるのではなく、身体が感じたことを思い出しているので、反応するまでに時間がかかります。
人に何かを教えるときは、なるべく一緒に体験し、実感させるような方法を好みます。
「感じる」「話の趣旨をつかむ」というような、感覚的な言葉をよく使います。





【なんとなく気が合う、波長が合うという相手とは、優先する表象システムが同じであることが多いです。】



著者は相手の表象システムに合わせて接したり、言葉を使い分ければ、感覚や感情が共有しやすくなり、より快適なコミュニケーションをすることが可能になると述べています。



【表象システムは、視線や言葉の表現、動作などに表れます。】



相手の視線からどの表象システムを使っているかを読みとる技法を「視線解析」といいます。


具体的には、

①上を向く視線

視覚的要素を使って思考中です。
特に好きなことや、嫌悪感の強いものを思い出しているときは、視線が一瞬上下に動くことがあります。


②横に動く視線

聴覚的要素を使って思考中、あるいは論理的な思考を行っています。
視線は横を見るというよりも、左右に流れような動きをします。


③下を向く視線

触覚的要素を使って思考中です。
味や香り、気持ちいいなど身体の感覚、また怒り、悲しみ、後悔などの強い感情を伴う記憶にアクセスしています。


「心理の達人」は相手の感じている世界の感覚を理解するために、視線解析を活用するようです。



その4に続く



おしまい