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【本の紹介】「臆病者のための裁判入門」橘玲(著)

臆病者のための裁判入門 (文春新書)

臆病者のための裁判入門 (文春新書)


弁護士もののドラマが大好きで、必ず観ています。
最近みたもので面白かったのは日本版でも話題になりましたが、米国版の「スーツ」です。
日本のドラマであれば「イノセンス 冤罪弁護士」「グッドワイフ」も面白かったです。



裁判の傍聴にもたまに(年に2、3回)行っています。傍聴券が交付される裁判の抽選会に参加して、当たればその裁判を視ます。
外れたら、抽選のない裁判を視て帰ってきます。



過去に一回だけ、世間で大きな話題となっていた刑事裁判の傍聴券交付の抽選にあたったことがあります。
弁護士と検察官のやりとりや証人尋問がドラマさながらで、あまりの臨場感にテンションがあがりまくったのを覚えています。



僕は弁護士もののドラマを見たり裁判を傍聴したりはしますが、実際に当事者として裁判に関わったことはありません。
おそらく、普通に生活していれば刑事裁判の被告になることはないでしょう。
それに、民事訴訟でも今のところトラブルに巻き込まれるような要素はないので、基本的に裁判は他人事です。



だから、ドラマも楽しく観ることできるし、他人のもめ事を観客のように傍聴することができるのだと思います。



前置きが長くなってしまいましたが、本書は刑事裁判や民事訴訟で高額な損害賠償などをめぐり、互いに代理人(弁護士)を要して争うような裁判の話ではありません。
数万~数十万円の少額な民事訴訟の話です。



前半は、著者がオーストラリア人の友人の大手損害保険会社に対する少額の損害賠償請求訴訟に関与した体験についての話で、訴訟の過程が詳細に書かれています。
後半は日本の裁判制度の概略や問題について分かりやすくまとめてあり、福島原発事故の訴訟問題にも触れています。



日本では民事紛争が裁判所で年間100万件近く争われているとのことです。
それであれば、刑事事件の被告になる可能性は非常に低いとしても、民事裁判であれば一生に一度くらいは当事者になるかもしれません。



少額な紛争を中心に、日本の民事訴訟の多くは代理人(弁護士)を立てない本人訴訟です。
本書で著者の関与した少額訴訟についても本人訴訟です。



本書は題名に裁判入門とありますが、特に裁判関連書の入門書というわけではなく、あまり情報が出回らない少額訴訟、本人訴訟について実体験をもとにわかりやすくまとめたものです。
いつ当事者になってもおかしくない民事訴訟について、専門的な知識がなくてもそれなりに楽しく読むことができる本です。




おしまい