サラリーマンのあしあと

40代前半のサラリーマンが幸せな人生を模索してます

【本の紹介】「杉村太郎、愛とその死」杉村貴子(著)

杉村太郎、愛とその死

杉村太郎、愛とその死



本書は杉村太郎という一人の人間の生きた証を、妻である著者が記録として残したものです。

正直、本書を読んで感動しました。
著者は一人の人間の「生」と「死」、そして「家族愛」を純粋な気持ちで書き記しています。

著者は何のために本書を執筆したのか。

おそらく自分のためであり、子どもたちのためであったのではないでしょうか。

著者は杉村太郎氏と出会い結婚してから、彼の夢への挑戦、そして闘病生活を一番近くで支えてきました。
最愛の人を失った自分自身の気持ちの整理、そして家族に最大の愛情を注いでくれた父親を子どもたちの記憶に永遠に残したかったのではないでしょうか。

だからこそ、本書には嘘がなく、著者の誠実な姿勢が伝わってきます。


僕が杉村太郎氏を知ったのは大学4年生の就職活動のときです。

当時は超氷河期と言われていた就職難の時代でした。
どの企業もバブルの清算に追われ、採用を控えていました。
当時は確か、2月~3月くらいから就職活動がスタートしていたと思います。
そして、夏前の6月にはほとんどの会社が採用を終わらせていましたが、僕は6月に入っても内定0という危機的状況でした。

自分は社会から受け入れてもらえない、社会から否定されている、という絶望感に襲われ、気が滅入りまったく自分に自身が持てない状態でした。


そんなときに杉村太郎氏の著者である「絶対内定」に出会ったのです。

当時、「絶対内定」で就活生に熱く語りかける杉村太郎氏のことばにどれだけ勇気づけられたことか。
悲観的になっていた僕が、あらためて前向きになるきっかけとなったのは杉村太郎氏の熱いことばでした。

「絶対内定」を読んだおかげかはわかりませんが、その後は順調に内定がもらえ結果的に3社の中から今の会社を選ぶことができました。

就職活動が終わった後、卒業するまでの間に「絶対内定」を何回も読み返しました。
社会人になってからの数年間は、熱血サラリーマンとして働き、結果を出し続けました。
妥協せずに、徹底して働くことができたのは、杉村太郎氏の影響だと思います。


杉村太郎氏の悲報を知ったのは夜のニュース番組でした。
僕は社会人になって10年以上が経っていました。


本書を読むまでこんなに壮絶な闘病生活を送っていたことを知りませんでした。
大げさに感じるかもしれませんが、杉村太郎氏の死は日本の将来にとって非常に大きな損失だったのではないでしょうか。

それくらいすごい人だと思います。


著者はそんな杉村太郎氏を一番近くで見てきた人です。
本書を通して、著者の杉村太郎氏への思いを十分に感じることができました。

本書は稀にみる良書であることに間違いありません。



おしまい