【本の紹介】「マリス博士の奇想天外な人生」キャリー・マリス(著)福岡伸一(訳)
- 作者: キャリー・マリス,福岡伸一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/04/09
- メディア: 文庫
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著者は1993年にノーベル賞を受賞しています。
科学者としての経歴もすごいですが、プライベートでは4度の結婚、LSDやマリファナの使用経験あり、サーフィン大好きとかなりの奇抜な人です。
ノーベル賞の受賞式に、元妻と子供、そして恋人を連れていきました。
ノーベル科学賞を受賞することとなったPCR法は彼女とドライブデート中に思い付きます。
皇后さまに「かわい子ちゃん」と挨拶したことがあります。
その他にもたくさん逸話がある人物です。
著者は訳者インタビューで、「自らを形容するのにぴったりな言葉は何か」という質問に「オネスト(正直)」と答えています。
おそらく、好きなことを我慢できずに夢中になってやるタイプです。
著者は大成功するための要素をふんだんに持ち合せています。
ずばり、この人は「天才」なのだと思います。
それに加え、学生時代から今に至るまで興味を抱いたことについては、徹底的に勉強されている人だと思います。
なかなか凡人にはマネできないでしょう。
本書はそんな著者のエッセイです。
本書は非常に楽しく読むことができます。
いろいろな出来事を、おもしろおかしく綴っています。
著者はサイエンスの分野でノーベルを受賞しているひとなので、本書にはサイエンスの話がけっこう出てきます。
専門的過ぎて少し取っ付きにくい内容もあるのですが、著者がサイエンスの分野で異端児扱いされてるんだろうなということは十分に理解できます。
著者は、エイズの原因はエイズウィルスではないと主張しています。
また、環境問題についても現代の当たり前とされている考え方に疑問を呈しているのです。
著者は次のように述べています。
【社会的に重要とされている問題のうち、それが本当かどうか、きちんとした実験的検証を経てているものは、実はほとんどないのである。】
また、
【メディアは科学者の思いのままだ。科学者の中には、メディアを実にうまく言いくるめる能力にたけた人々がいる。そしてそのような有能な科学者たちは、地球を守ろうとは露も思っていない。彼らがもっぱら考えているのは、地位や収入のことである。】
だから、
【私たちは自分の頭で考えねばならないのだ。】
僕はエイズや環境問題について専門的な知識がないので、著者の主張が正しいのかどうかはわかりません。
ただ、こういう主張・考え方はあらゆる物事を多角的に捉えることのヒントにはなります。
また、メディアに流されないための知識の習得の必要性も感じます。
本書における本編の最後に著者は、
【人類ができることと言えば、現在こうして生きていられることを幸運と感じ、地球上で生起している数限りない事象を前にして謙虚たること、そういった思いとともに缶ビールを空けることくらいである。リラックスしようではないか。地球上にいることをよしとしようではないか。最初は何事にも混乱があるだろう。でも、それゆえに何度も何度も学びなおす契機が訪れるのであり、自分にぴったりとした生き方を見つけられるようにもなるのである。】
結論として、人生において、悩む必要はないということでしよう。
ネガティブになるのではなく、ポジティブになりましょうということか。
奥が深い、、、、。
おしまい