サラリーマンのあしあと

40代前半のサラリーマンが幸せな人生を模索してます

【本の紹介】「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」橘玲(著)



本書の冒頭で、著者は自らの政治思想をリベラリズム(自由主義)であると述べています。
しかしながら、日本社会でリベラルを名乗る人たちとは折り合わず、「日本のリベラルはうさんくさい」とし、さまざまな事象からその理由についてエビデンスをもとに説いています。



日本のリベラルは世界基準とは異なるようです。
本書ではリベラルと保守を対峙させながら論じている部分も多数ありますし、もちろんリベラルについての見解が述べられていますが、さほど思想のこだわりのない人でも、わかりやすくかつ面白く読める内容です。



リベラルと保守派で近現代史の評価をめぐっては様々な対立をしているようです。
その中で、本書は「Part0「リベラル」の失敗」で「沖縄『集団自決』裁判」について、裁判にいたるまでの対立の過程や史実とされていることが書かれています。
かなり読み応えがあります。
利害関係者の都合や見解の対立により、事実は歪曲されていき、結局は何が事実なのかはわからなくなっていきます。




Part1以降は様々な事象について、著者の見解が述べられているのですが、普通に日々感じる疑問が解決していき、「へぇー」と言いたくなる内容がいくつもありました。



その中で、特に考えさせられた内容もいくつかあったので紹介します。




同性婚について】


いまやヨーロッパの多くの国では、同性婚が普通になっています。
日本では自治体レベルでは改革の動きがありますが、憲法24条で「婚姻は両性の合意に基づく」とあるため同性婚を認めるには憲法改正が必要です。


同性婚について保守派は反対、リベラルはどちらかといえば賛成のようです。
保守派の反対理由は「日本の伝統的な家族観や家庭観の崩壊につながる」ということです。


著者はパレート最適の定義である「誰かの効用を犠牲にしなければ他の誰かの効用を高められない状態」を逆にいえば「誰の不利益にもならずにいまよりも幸福になれるなら、それは社会にとって良いことだ」とし、同性婚によってほかの人たちが不利益を被るわけではないので、パレート効率的で社会全体の幸福度は上がると述べています。


僕は同性婚については、当事者にしか理解できない世界観があるでしょうし、理屈で考えれば著者の言う通りでパレート効率的だと思いますので認めても良いような気はします。

ただし、我が子が同性婚したいと言い出しても認めないでしょうね。


理由は、「老後に孫と一緒に遊びたい」です。





同一労働同一賃金について】


著者は同一労働同一賃金はグローバル基準で考えたら当たり前のことであり、日本の雇用形態の弊害だというスタンスです。
リベラルは従来の雇用形態を差別だと考えます。


著者は「相手の身になって考えてみよう」というのは、「自分の主張が正しいのは、自分が相手の立場になってもその主張が正しいと納得できる場合だけだ」だとし、正社員が非正規社員より厚遇されていることに対して、正社員が非正規社員の立場で考えた場合に納得できるのかと説いています。

たしかに、非正規社員の立場で考えたら納得なんてできないでしょう。

ただし、これは逆も成り立つのではないでしょうか。
非正規社員が正社員の立場で考えたら納得できるのでしょうか。

ちなみに僕は従来の雇用形態に完全に守られている側です。




【女性管理職の割合が上昇しない理由】


著者は女性管理職の割合が上昇しない理由は、日本の企業の昇給・昇格の基準、すなわち評価基準に問題があると述べています。

問題とは、長時間労働した方が評価が高く、家庭を嫁にまかせてひたすら働くことが可能な男性の方が有利な仕組みにあるとしています。


異論はありません。


実際に僕の会社でも長時間労働ができる男性、もしくは女性でも独身か結婚していても子供がいない人つまり女性でも長時間労働できる人しか管理職にはいません。

僕も腐るほど長時間労働をしてきました。


長時間労働の方が評価が高いという問題は、今後の働き方改革で解消されていくのではないでしょうか。

それって良いことなのでしょうが、ある意味では厳しい時代に突入していくことになるんでしょうけど、、、。
意外と気づいていない人が多いような気がします。





日本の「リベラル」はやっぱりうさんくさいのでしょうか。

本書を読んでふと思ったことがあります。

それは、

「うさんくさいやん、僕」

でした。






おしまい