サラリーマンのあしあと

40代前半のサラリーマンが幸せな人生を模索してます

【本の紹介】「伝える力」池上彰(著)その2

伝える力 (PHPビジネス新書)

伝える力 (PHPビジネス新書)

その1の続き


「第3章 円滑にコミュニケーションする」で、危機管理について述べられています。
とても参考になりましたので、その1とは別で紹介させていただきます。
ここで述べられている危機管理とは、コミュニケーションをとる上で、相手に与える心証についてだと解釈しました。


池上彰さんは、長いジャーナリストの経験を通して、日本の慣習についてしっかりした認識を持っています。

まず、日本には「けしからん罪」が存在しており、それは法律には違反してないけれど、なにかけしからんよね、という多くの人達の気持ち、感覚、空気だと述べています。
続いて、日本人は大儲けしている人などの成功者に対して二通りの反応を示すとも述べています。
一つは「うらやましい」で、これは健全的です。
もう一つの反応は「ずるい」で、いわば「嫉妬」です。

「嫉妬社会」の側面を持つ日本では、たとえすべてがうまくいっていても、それを声を大にしていうのは慎むのが賢明だということです。
同じように、成功をおさめた人でも、愛される人と疎まれる人がいて、この違いは、「謙虚さ」の有無だと述べています。
愛される人は血の滲むような努力の結果だとしても「皆さまのおかげで、ここまで伸びることができました」と謙虚な姿勢や雰囲気を持っており、一方、疎まれる人は「俺の才覚で、ここまできたんだ。どうだ、スゴいだろう」という雰囲気がそこかしこから漂うひとです。
時と場合によっては、本音と建前のバランスが必要だということです。


池上彰さんは、日本の慣習を認識した上で、危機管理について具体的に述べているので、読んでいる側は納得し、謙虚に受け止めることができるのだと思います。


危機管理について、参考になったことを箇条書きで紹介させていただきます。

・人に話をするときに、つかみと同じくらい大事なことは危機管理の意識を持つこと

・相手に対して、根底に愛情があるか、互いにに信頼関係が築かれているかで、表面上は同じでも、相手に与える印象は大きく異なる

・好感度をあげるには、陰口を言わない
(もし、言うなら、本人の前で面と向かって言えるレベルまで)

・叱るのは、あくまでも一対一が原則

・叱る際に大切なのは、叱るまえに褒めること

・褒めるときは、みんなの前で

・謝罪は危機管理になる
(理屈を考えると謝る必要はないけど、一言「ごめんなさい」ということで、事がスムーズにいく場面が日常的にある)


相手とコミュニケーションをとる上で、自分自身がどれだけ危機管理が欠けていたかを実感させられました。

【「正しいか正しくないか」とは別に、「今、何を言うべきか」を判断する能力は、ビジネスパーソンに求められる資質と言えるでしょう】

賛否両論はあるかもしれませんが、サラリーマンとしては大切なことなんでしょうね。
僕はこの資質が欠けています。
サラリーマンとしては、致命的です。
何度も痛い目にあったし、必要以上に敵を作ったりしてきました。
謙虚に受け止め、今後は改めようかなと思います。
そう思えたのも、繰り返しになりますが、本書がわかりやすく素直に受け入れることができたからだと思います。


おしまい