サラリーマンのあしあと

40代前半のサラリーマンが幸せな人生を模索してます

【本の紹介】「プロカウンセラーの一瞬で心を見抜く技術」前田大輔(著)その4


その3のつづき



【強力な暗示効果を発揮する「前提のコントロール」】


具体的には、
「A子さん、このあとお茶に行くなら、スイーツのある店とない店とどちらがいい」
という質問するとします。。


A子さんがスイーツのある店を選ぶ、ない店を選ぶはどうでもよいのです。
それはなぜかというと、そもそもの目的がA子さんとお茶に行くことだからです。


これをダブルバインドと呼びます。


お茶に行くことを前提として、質問をしています。
こういう質問だと「行きません」という返事がすぐには出てこなくなります。
A子さんの答えはスイーツがある方が良いか、ない方が良いかです。
質問の内容を考えると、答えの選択肢に「行きません」はあり得ないのです。


「A子さん、お茶に行きませんか?」であれば、答えは「行きます」か「行きません」です。
つまり、断る選択肢を相手に与えてしまうのです。




【無意識のうちに、話の足りない部分を相手に作らせたり、相手に補ってもらう方法が、過去完了否定形を用いた暗示の方法なのです。】


「以前は~だった」とか「~だと思っていた」という過去完了の否定形を使うと「現在は違う」と思い込ませることができるとのことです。


マズロー欲求段階説の使い方】


著者はマズロー欲求段階説について、「これはもともと心理学の理論で実践的なテクニックではないのですが、使いようによっては、心理カウンセリングだけではなく、日常のコミュニケーションにも、有用なツールになります」と述べています。


では、マズロー欲求段階説とはどのような内容でしょうか。


本書に書かれている内容を簡単にまとめてみました。


人間の欲求段階には、以下の5段階があります。


①生理的欲求

②安心・安全の欲求

③親和の欲求

④自我の欲求

自己実現の欲求


相手がどの欲求段階にいるかを確認すれば、その次の欲求段階の目標を示唆してあげることで、適切なアドバイスができます。


例えば、現在「親和の欲求」の段階で悩んでいる人には、「自我の欲求」を達成させるようなイメージを持たせてあげます。
すると視野が広がって、生きがいや目標が生まれ、安心感が広がってくるのです。


この欲求段階には、下が解決しないと上にはいけないルールがあります。
つまり、ひとつずつ段階を踏んで行かなければ、自己実現の欲求まで、たどり着かないのです。


きちんと順番に段階を踏まないようなアドバイスも、説得力に欠けてきます。





書かれている内容を長々と紹介させて頂きました。
そんなに目新しいスキルはないのですが、比較的頭に入りやすい内容です。
本書は「心理の達人」に向けて、入口としては最適な本ではないでしょうか。




おしまい

【本の紹介】「プロカウンセラーの一瞬で心を見抜く技術」前田大輔(著)その3


その2のつづき




【相手に心を開いてもらい、無意識レベルで信頼してもらうためには、このラポールが必要になります。】


ラポールとは無意識で感じさせる信頼関係なので、あくまでも無意識レベルのコミュニケーションだとのことです。
ラポールは無意識ですから、あくまでも本人はよくわからないのですが、「なんだか一緒にいると落ち着く」という感じのようです。


著者はラポールを築く方法をいくつか紹介しています。


本書に書かれていることを簡単にまとめてみました。


①マッチング

相手に安心感を与えるもっとも基本となる方法。
態度や言葉などを相手に合わせる、つまりマッチングさせていくことです。
別名、「ミラーリング」とも呼ばれます。

また、自分と同じ感覚を持った人なのだ、ということを伝えるだけでもマッチングになります。
例えば、好き嫌いや過去の思い出です。

マッチングを続けることを「ペーシング」といいます。
「ペーシング」を続けていくと無意識のうちに心を開いていきます。
つまり、二人の間にラポールが築かれていくわけです。



②パーソナルスペース

相手との位置や適切な距離も、無意識レベルの安心感に大きな影響を与えます。

相手に安心する要素があればあるだけ、パーソナルスペースは小さくなります。
つまり、相手に近づけるということです。

これを利用し強引に近づいてしまうことで、逆に安心感を与えてしまうというテクニックもあります。
初対面であっても、肩を寄せ同じものを除きこんだりすることで意図的に親密なもの同士だけに許されるパーソナルスペースをつくり、一気に安心感や親密感を深めることでラポールを築くのです。

また、椅子に座る場合は正面や真横ではなく、相手に向かって90度の角度で座るのが理想的です。
これはもっとも緊張なく安心して話せる位置なのです。


③第一印象で信頼させる

相手に与える印象も、安心させ信頼させるために、大切な要素です。
コミュニケーションにおける影響比率は、視覚要素が55%、聴覚要素が38%、論理要素が7%です。

第一印象は無意識に刻みこまれるのです。
だから、見た目には最大限気を使う必要があります。




【人が世界を認識するときには、必ずなにかしらの感覚要素を使っています。感覚要素には、視覚、聴覚、触覚(味覚・臭覚を含む)という三つがあり、人はそのどれかを無意識のうちに優先的に選んで使っています。】



現代催眠では、これを「表象システム」というようです。
そして人によって、優先的に使う表象システムは違うのだそうです。


どの表象システムを主に使うかによって、人はそれぞれ以下の特徴があると本書に書かれています。

①視覚的要素をよく使う人

比較的高い声で、早口で話す傾向があります。
質問されたら即答します。
(頭の中に現れる映像を使って処理するので、素早い思考や反応ができるのです。)
何かを説明する時には、イメージを図に書いて示す
などの教え方を好みます。
「見る」「視点」など、視覚につながる言葉をよく使います。



②聴覚的要素をよく使う人

明瞭な声で、なめらかに話す傾向があります。
物事を感覚ではなく、論理的に理解しようとします。
人に何かを教えるときは、話して聞かせる方法を好み、論理的に理解させようとします。
「聞こえる」「考える」という言葉を好んで使います。



③触覚的要素をよく使う人

比較的低い声で、ゆっくり話す傾向があります。
頭で考えるのではなく、身体が感じたことを思い出しているので、反応するまでに時間がかかります。
人に何かを教えるときは、なるべく一緒に体験し、実感させるような方法を好みます。
「感じる」「話の趣旨をつかむ」というような、感覚的な言葉をよく使います。





【なんとなく気が合う、波長が合うという相手とは、優先する表象システムが同じであることが多いです。】



著者は相手の表象システムに合わせて接したり、言葉を使い分ければ、感覚や感情が共有しやすくなり、より快適なコミュニケーションをすることが可能になると述べています。



【表象システムは、視線や言葉の表現、動作などに表れます。】



相手の視線からどの表象システムを使っているかを読みとる技法を「視線解析」といいます。


具体的には、

①上を向く視線

視覚的要素を使って思考中です。
特に好きなことや、嫌悪感の強いものを思い出しているときは、視線が一瞬上下に動くことがあります。


②横に動く視線

聴覚的要素を使って思考中、あるいは論理的な思考を行っています。
視線は横を見るというよりも、左右に流れような動きをします。


③下を向く視線

触覚的要素を使って思考中です。
味や香り、気持ちいいなど身体の感覚、また怒り、悲しみ、後悔などの強い感情を伴う記憶にアクセスしています。


「心理の達人」は相手の感じている世界の感覚を理解するために、視線解析を活用するようです。



その4に続く



おしまい

【本の紹介】「プロカウンセラーの一瞬で心を見抜く技術」前田大輔(著)その2




その1のつづき



著者は、心の問題、悩みの原因はたったひとつだけだと述べています。

【それは、「思った通りに生きられなくて困っている」という悩みです。】


どのような悩みもここに行き着くようです。




【実は「心とは欲求である」と考えることができます。すなわち「欲求」がすべての始まりで、そこから気持ちや感情が生まれるのです。】

ですから、

【「心を理解する」というのは「欲求を理解する」ことであり、「人の心を理解する」とは、「その人が何を欲しがっているかをわかってあげること」ということになるのです。】


本書では、欲求を理解するために欲求について考察しています。


著者は、人間の欲求は3タイプしかないと述べています。
欲求タイプとは、簡単にいえば、無意識のうちにその人間が何を「安心」と感じるかという分類だと紹介されています。


その3タイプについて、本書に書かれていることをまとめてみました。


①「本能欲求タイプ」

勝つことを望み、優位に立とうという行動をとります。
ばかにされたり、なめられることを最も恐れます。
物事の判断は「断定的」「独断的」です。
基本的には人の話を聞きません。
権威的で利己的です。

また、行動面で以下の特徴もあります。

同じことを言う。
相手を子供扱いする。
相手を指差す。
腕組みをする。
大声でどなる。




②「感情欲求タイプ」

楽しいことを重視する。
他人から好意を持たれたい、人気者になりたい、という目標を持って行動します。
嫌われること、仲間外れにされることをもっとも恐れます。

物事の判断は、好き嫌いが中心です。
自分の判断を避け、他人に追従しやすい。

また、行動面で以下の特徴もあります。
頭に手をやる。
上目遣いする。
黄色い声で甘える。
オーバーアクションをとる。



③「理性欲求タイプ」

事実を重視します。
理性的な判断に基づいて現実を吟味しながら目標を達成したい、得をしたいという目標を持って行動します。
結果が出せないこと、損することを最も恐れます。
物事の判断は、非常に理性的、論理的、科学的です。
主観的ではなく、客観的です。

また、行動面で以下の特徴もあります。
無駄な行動がない。
計画的に行動する。
相手の言い分を聞く。
相手をよく観察する。
例え話がうまく、数字や実例をよく使う。


著者は、欲求タイプは一人の人間において、その時の状況や物事によって刻々と変わっていくと述べています。
しかし、やはりいちばん安心できる欲求タイプがあって、いつのまにかそれを求めているとのことです。



著者は、「心理の達人」は素早く人間の反応パターンを分析し、その人が何を望み、何を恐れているのかを判断し、その分析をもとに慰めたり、注意したり、励ましたりして、効果的に相手を動かしていくと述べています。
簡単にいえば、相手が「恐れること」をいち早く見抜き、効果的な言葉がけをしていくのです。





【催眠のしくみを一言で説明すれば、「催眠状態にはいると本人も気づかないうちに、理性が著しく低下してしまう」】


人の心を思い通り操る方法といえば、「催眠術」を思い浮かべるのではないでしょうか。


著者によると、催眠状態に入ると次のような現象がおきるようです。

①眠ったように見えるほど、深くリラックスする。

②人の言いなりになって、普段ならしないことをしてしまう。

③イメージや過去の記憶がリアルに浮かび、時には感動して泣き出したりする。



【「暗示をかける」とは、ある意図が相手の中にはいること。何かを思い込まされているという状態です。】


著者は次のようにも述べています。

【しかし、暗示をかけるほうは、「今から暗示をかけます」とは言いません。ですから、あらかじめ防ぐ準備はできないのです。】



「心理の達人」は、この見えない、聞こえない、防ぎよようがない現代催眠を駆使して「心を動かす」ことができるようです。



その3に続く





おしまい

【本の紹介】「プロカウンセラーの一瞬で心を見抜く技術」前田大輔(著)その1



どんなに他人とコミュニケーションをとるのが苦手な人でも、世の中で生きていくには、自分以外の他人となにがしかのコミュニケーションをとらざるを得ません。
例外ももちろんありますが、基本的には他人とある程度の良好な関係を築く必要があります。



企業で働いている人は、上司・部下・同僚・取引先の担当者と良好な関係を築くことが高給取りにつながります。
プライベートでは、家族・友達・好きな異性と良好な関係を築くことで幸せな人生に近づくことができます。



近頃、人間関係は必要最低限で良いと考え、広げる意思のない人が増えているようです。
孤独を貫くことが美徳であるという人もいます。
ただし、そういう人でも、多少の人間関係はあるわけです。



10年後、20年後はどうなっているかわかりませんが、当分の間は人との接点をゼロにすることは出来ないでしょう。
世の中で生きていくとはそんなものです。



人が世の中で生きていく上では、相手の心を一瞬で見抜くスキルがあれば、他人と良好な関係を築く武器となります。
仕事もプライベートも自分の思い通りになるのではないでしょうか。


でも、そんなスキルを身に付けるのは、なかなか難しいでしょう。
というか、そんなスキルがあるのかも疑問です。


ちなみに、本書はどちらかというと、あたかも相手の心を読んでいるかのように話すにはどのようにしたら良いか、について書かれています。


けっして、実際に相手の心を一瞬にして見抜くスキルではありません。
相手の心を一瞬にして見抜いたようにみせるスキルがたくさん紹介されている本です。
そんなスキルを持ち合せた人を著者は「心理の達人」としており、「心理の達人」になりましょうと述べています。


また、本書は今人生に行き詰まっている人が読めば非常に気持ちが楽になる本でもあります。
それは、行き詰まっている原因がなんとなく理解できるからです。



前置きが長くなりましたが、本書を読んで参考になったことや活用できそうなことについて紹介させて頂きます。



【心理カウンセリングの真の目標は、クライアントの心を健康な状態に導くことです。】


著者は「健康な心」の特徴を3つあげています。


一つ目は、

たくさん人生の選択肢があり、今の人生は自分の選んだ人生だという誇りを持てる状態。


二つ目は、

不安、恐怖、怒り、憎しみ、妬み、後悔といった不愉快な感情よりも、安心、希望、満足、勇気、感謝などの好ましい感情が自然と多く浮かんでくる状態。


三つ目は、

何かにぶつかったとき、問題を単純化し、よりシンプルに考えられる状態。


プロのカウンセラーは、さまざまなテクニックを
駆使して相談者の「不健康な心」を「健康な心」に導くことが仕事のようです。




今日は、このくらいにして明日以降に技術的な内容を紹介させて頂きます。
参考になることが多かったので、その1~4まで4回にわたって紹介させていただきます。


その2に続く




おしまい

人間は忘れる動物です。だから、ブログに残すのです。

ドイツの心理学者エビングハウスによると、人間は新しく覚えたことでも、20分後には42%、1時間後に56%、1日後には74%を忘れてしまうと言います。

これは、覚えたことを忘れないと記憶がふくれ、脳がパンクしてしまうからではないでしょうか。

人間が長い人生を生きていく中で、必要なメカニズムなのでしょう。

すなわち、人間は忘れる動物なのです。


そして人間は困ったことに忘れなくて良いことも忘れてしまいます。
例えば、読書で得た知識や仕事でミスした理由など、、、。

せっかくたくさん本を読んでも、基本的には内容を忘れます。
逆にすべてを覚えるなんて非効率でもありますが、でもやっぱりもったいない。


仕事でミスした理由など、きっちり反省書やメモに残さないとかなりの高い確率で同じミスをおかします。


せっかくインプットした内容も、うまいことアウトプットしなければ時間が経つとほとんど忘れてしまうのです。




このブログをはじめて2ヵ月ほど経ちましたが、記事の半分以上が【本の紹介】です。


もともとが本を読むのが好きで、過去に大量の本を読んできました。
でも、ほとんど内容を覚えていません。
おそらく気がついてないだけで、読書が自分自身の人格形成にかなり影響しているとは思いますが、、、。


書評のブログ等を見ると、自分の意見や感想はあまり書かないのが通常のようです。
でも、僕はその時どう感じたかも重要だと思っているので、書評というより感想文に近い内容で書いています。


このブログの【本の紹介】では、


①新しく得た知識
②人に教えたいこと
③共感できること
④自分とは感じ方が違うこと

をベースに自分の意見や考えを交えて紹介しています。


また、読書だけではなく、さまざまなインプットしたことを忘れてしまう前にアウトプットしていきます。


目標は2000記事です。
今のペースでいけば14年ほどかかります。


14年後に僕はとんな人生を過ごしいるのでしょうか。
非常に楽しみです。


サラリーマンのあしあとはまだまだ続きます。



おしまい

【本の紹介】「ご冗談でしょう、ファインマンさん(上・下)」R.P.ファインマン(著)大貫昌子(訳)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)


著者はノーベル賞を受賞したR.P.ファインマンです。
本書は著者の日常でおこったエピソードをユーモラスに綴ったエッセイです。
どちらかというと知的なユーモラスさに満ちた内容です。



以前に書籍を紹介させて頂いたノーベル賞受賞者のキャリー・マリス氏同様に、本書の著者も好奇心旺盛でいろいろなことに興味を持ちやりたいことを実践することで、面白可笑しい人生を歩んでいます。



文庫版訳者あとがきに書かれているのですが、著者には二つの信条があります。


一つめは、

【とにかく何かにあっと驚き、なぜだろう?と考える心を失わないこと。そしていいかげんな答えでは満足せず、納得がいくまで追求する。わからなければわからないと、正直に認めること。】


二つめは、

【人がどう思おうと、ちっともかまわない】



この二つの信条を貫いたことが、ユーモラスな人生を送ることのできた一番の理由ではないでしょうか。



キャリー・マリスは4度結婚してましたが、著者も一度の死別を含め3度結婚しています。
ほんとに自由ですね。


それでは本書で気になったことや考えさせられたことについて紹介させていただきます。



著者は第二次世界対戦で広島と長崎に投下された原子爆弾の開発に携わっています。

当時はヒトラーより先に開発に成功しないといけない、開発に成功すれば成功したという事実により戦争が終わると考えていたようです。


結果的には多くの犠牲者がでています。


著者は、開発に成功した当時についてふりかえっています。


【そのとき、僕をはじめみんなの心は、自分たちが良い目的をもってこの仕事を始め、力を合わせて無我夢中で働いてきた、そしてそれがついに完成したのだ、という喜びでいっぱいだった。そしてその瞬間、考えることを忘れていたのだ。つまり考えるという機能がまったく停止してしまったのだ。】



原子爆弾が戦争の武器としてどんなに脅威的なものか、実際に使用されたらどうなるかを客観的に判断することが出来なかったのでしょうか。
とても頭の良い人たちが、考えることを忘れるくらい戦争は当時者を狂わせるのです。


その後、著者は原子爆弾による被害をどのように感じたのか。





著者はある時期、物理の仕事が楽しくなくなります。
そして「なぜ、昔は楽しめたのだろう」と自問します。

そのこたえは、

【そうだ、以前は僕は物理で遊んだのだった。~ただ僕が面白く遊べるかどうかが決めてだったのだ。】

です。

また、

【後でノーベル賞をもらうもとになったダイアグラムも何もかも、僕がぐらぐらする皿を見て遊び半分にやりはじめた計算がそもそもの発端だったのである。】

ともあります。


何かで大きな成果を出そうとするなら、楽しみながらできることでないと無理なのでしょう。





著者は日本をとても気に入っており、一時は頻繁に来日しています。

本書で、初めて日本に訪れた際のエピソードを綴っています。


著者は西欧風のホテルに宿泊するのがいやでスタッフに無理を言って、高級旅館に宿泊しています。
旅館の風呂でばったり湯川秀樹に出くわしています。
驚きですね。

著者は日本の旅館の慣習やサービスにとても感銘を受けています。


また、著者はある国際会議で日本大使と会話を交わしています。


著者は日本大使に質問します。

【「一体全体日本をこのような国に育てあげることができたのは、日本人のどういう特性によるものでしょうか」】


日本大使は、必ずしも正しいかどうかはわかりかねますが、という前置きの後に、


【「とにかく日本人は向上するには子供を自分以上に教育することしかない、そのためにはぜひとも百姓仕事から脱出せねばならんと信じている。だから子供たちが学校でよく勉強するよう、どんどん前進するよう励ます熱気が家庭の中にみなぎっている。」】


とこたえています。


戦後の日本の急速な成長の要因であることに間違いないでしょう。


現代の日本はどうでしょうか。

少なくとも僕は子供には自分以上になってもらいたいから、金はかかりますがそれなりに教育(勉強に限らず)には力を入れているつもりです。

周りを見ているとそれぞれの家庭で温度差はありますが、それなりに子供の教育には力を入れているようです。


話は少しずれますが、今の時代、子供の教育には金がかかります。
これは教育格差につながり、社会問題となっています。
このことについては非常に問題だとは思いますが、はっきり言ってどうしようもありません。
今後も教育格差は広がる傾向にあると思います。
だからこそ、現実を受け入れて親は必死にお金を稼がないといけないのです。




著者は、本書でとても面白いエピソードをたくさん綴っています。
人生を楽しむスペシャリストです。


本書はかしこまった人生を送っていることに疑問を感じている人が読むと肩の力が抜けると思います。
少し気が楽になるのではないでしょうか。

また、人生を楽しむヒントもたくさんあります。



本書は上・下巻で少しボリュームがありますが、比較的すらすら読めます。

なかなか良い本に出会えたなって感じです。






おしまい

神楽坂のかもめブックスに行ってみた

神楽坂のかもめブックスに行ってきました。

かもめブックスははじめてです。


以前、ネットでおしゃれな本屋として紹介されている記事を読んで、いつか行ってみようと思っていました。



僕の行きつけの本屋は、近所のイオンのショッピングセンター内にある未来屋書店です。
未来屋書店も近頃は売場がすごく創意工夫がされていてとても大好きです。
売場も手頃な広さで、品揃えもなかなか豊富な印象です。
毎週末に隣接しているカフェで本を読んでいます。


ただ、どうしても一般大衆向けな感は拭えません。
そもそも、イオンのショッピングセンター内にある本屋なので、ターゲットとしている客層が一般大衆です。


かもめブックスはどちらかというと本好きが集まる店というイメージです。


新店舗としてオープンするとき店主は、

「神楽坂から街の本屋が消えないように」

「本を読まない人にどうやって本屋にきてもらうか」

ということを考えていたようです。


神楽坂駅矢来口をでるとすぐです。
通り沿いにオープンなカフェがあるのですが、中に入るとそこが本屋です。

かもめブックスはカフェと店内奥のギャラリーが一緒になっている本書です。


カフェでは美味しいコーヒーと軽食が楽しめます。
購入前の本は読めないようですが、購入後の本や持ち込み本を読むにはもってこいなカフェです。


店内奥のギャラリーはこぢんまりしてますが、おしゃれな雰囲気を存分に醸し出しています。


そして、メインの本屋ですが、とても良いのです。
店内は狭いので、テーマに沿って厳選された本が置かれています。


テーブルに平場積みされている本には、丁寧に作成されたPOPがついていて、とても分かりやすいです。
本棚もテーマごとに括られているのですが、本を手に取ってもらいたいというこだわりを感じます。


けっこう長い時間、店内にいたのですが、素晴らしい本との出会いもありました。

新しい本との出会いは、人生を本当に豊かにしてくれると実感できました。
かもめブックスに来て良かったです。



昨今、本を読む人が減っているようです。
ネットの影響でしよう。


かもめブックスは素晴らしい本との出会いを作り出してくれる本屋です。
こうした本屋が増えたら、本を読むことの良さが見直されるのではないでしょうか。



いつかまた時間があれば行きたいです。



ちなみに、自宅からかもめブックスまで電車を乗り継ぎ2時間以上かかります。

近所にあれば足繁に通ってるでしょうね。






おしまい